THE FIRSTの裏側と現在|SKY-HIの審査基準と脱落者の軌跡
2021年に幕を開け、日本の音楽シーンとボーイズグループの勢図を大きく塗り替えたオーディションプロジェクト「THE FIRST」。AAAのラッパーでありソロアーティストとしても活動するSKY-HIが、私財1億円以上を投じて立ち上げたマネジメント/レーベル「BMSG」の設立第1弾プロジェクトとして世に放たれました。
日本テレビ系情報番組『スッキリ』での特集放映や『Hulu』の完全版配信を通じて爆発的な社会的ムーブメントを巻き起こし、誕生した7人組グループ「BE:FIRST」は瞬く間にトップアーティストへと駆け上がりました。本稿では、当時の富士山合宿から最終順位の決定プロセス、さらには惜しくも選考から漏れた脱落者たちの現在の活躍まで、現場取材の知見と業界データをもとに徹底検証します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:SKY-HIが提唱した「クオリティ第一・クリエイティブ第一・アーティシズム第一」の審査基準が、従来の消耗型オーディションの構造を解体した。
- 要点2:最終順位で脱落とされたメンバー(古家蘭、ショウタ、REIKOら)もBMSG所属やソロアーティストとして大成し、「誰も才能を殺さない」エコシステムが完成している。
- 要点3:富士山合宿審査から生まれた楽曲群と心理的安全性に根ざした育成モデルは、2026年現在のグローバルボーイズグループ市場における標準指針となった。
【富士山合宿の軌跡】クリエイティブ審査と過酷な選考現場の裏側
「THE FIRST」が他のサバイバルオーディション番組と一線を画した最大の転換点が、山梨県で行われた約1カ月間に及ぶ「富士山合宿」です。2次、3次審査を通過した15名のボーイズグループ候補生たちが集められ、単なる歌唱・ダンススキルの優劣ではなく、自ら音楽を紡ぎ出す能力が試されました。
特に視聴者と音楽関係者に衝撃を与えたのが「クリエイティブ審査」です。あらかじめ用意されたトラックに対し、参加者がチームごとに歌詞、メロディ、コレオグラフィ(振付)をゼロから共同制作する試みであり、課題曲として制作された「A」チームの『"A" Life』、「B」チームの『Good Days』、「C」チームの『YOLO』は、いずれも配信直後から各種チャートを席巻しました。
現場において徹底されていたのは、従来のオーディション番組にありがちだった「足を引っ張り合う過酷な競争」の排除です。日本テレビ系『スッキリ』の特集放映や『Hulu』の完全版配信のカメラが捉えていたのは、未経験者が経験者に教えを請い、経験者が未経験者の個性を引き出す共創の現場でした。SKY-HI自身が合宿所に寝泊まりし、参加者と同じ目線で食事を取り、直接対話とフィードバックを重ねる姿勢が、候補生たちの潜在能力を限界まで引き出した要因といえます。

THE FIRST最終順位とBE:FIRSTデビューメンバーの選考理由
最終審査において、当初「5人組」とアナウンスされていたグループの枠組みは、最終的に「7人組」へと拡大されました。この決断の背景には、個々の成長スピードと、7人が揃った際に生まれる爆発的なシナジーがありました。最終ステージを経て選出された「BE:FIRST」のメンバー構成と順位には、SKY-HIが掲げた明確な論理が存在します。
最終順位1位のSOTAは世界大会優勝の圧倒的なダンススキルとラップの適応力、2位のSHUNTOは唯一無二の歌声とステージ上での憑依力、3位のMANATOは安定したピッチと卓越したリズムキープ力が高く評価されました。4位のRYUHEIは当時14歳とは思えない表現力の深淵さ、5位のJUNONは未経験から驚異的なハイトーンボイスを開花させた成長力、6位のRYOKIは圧倒的な表現欲求とエッジの効いたパフォーマンス、7位のLEOはグループの屋台骨を支える人間性と包容力が決定打となりました。
SKY-HIは会見や著書の中で、「誰が優れているかではなく、世界へ挑むチームとしてどのピースが組み合わさるべきかという一点で選考した」と明言しています。個々の個性が衝突することなく、7つの異なる頂点がひとつの多面体を形成する構成美がここに確立されました。
【比較検証】THE FIRST主要参加者の審査結果と現在の活動状況
「THE FIRST」の特異性は、最終審査で名前を呼ばれなかった参加者たちのその後の処遇にあります。以下の表は、オーディション時の最終成績と、現在の主要メンバーの活動状況を一覧化したデータです。
| 参加者名 | オーディション最終結果・順位 | 現在の所属・活動形態 | 編集部の分析・評価 |
|---|---|---|---|
| SOTA / SHUNTO / MANATO / RYUHEI / JUNON / RYOKI / LEO | BE:FIRST デビューメンバー(1位〜7位) | BMSG所属グループ「BE:FIRST」 | ドームツアー成功、アジア・北米展開を加速させ国内外のチャートを席巻。 |
| 古家蘭(RAN) | 最終審査脱落(合宿審査上位常連) | BMSG第2弾グループ「MAZZEL」メンバー | 舞台俳優経験とトレーニー期間を経てMAZZELの中心人物として大成。 |
| ショウタ(Aile The Shota) | 最終審査脱落(アーティスト契約打診) | BMSG所属 ソロアーティスト | 卓越した作詞作曲能力を発揮し、フェス出演や楽曲提供など独自の世界観を確立。 |
| REIKO(カディオ) | 最終審査脱落(トレーニー契約) | BMSG所属 ソロシンガー | 未経験からの驚異的進化を継続。ソウルフルな歌声を武器にメジャーソロデビューを果たす。 |
| RUI / TAIKI / KANON | 合宿審査・4次審査脱落 | BMSG トレーニー(練習生)から新世代へ | 年齢や熟成度に応じた育成カリキュラムを受け、音源リリースやイベントで実績を蓄積。 |

脱落者は今どこで何をしているのか?古家蘭・ショウタ・REIKOらの現在地
「オーディションの脱落=夢の終わり」という旧来の芸能界の常識を覆した点こそ、BMSGが称賛される本質です。最終審査において惜しくも選外となった候補者たちの進路は、日本の音楽産業におけるタレントマネジメントのあり方を再定義しました。
圧倒的なダンス力と王者の風格を持ちながらも、最終ステージで涙を飲んだ古家蘭(RAN)は、直後にBMSGの育成生(トレーニー)契約を締結。主演舞台での演技経験などを経て基礎表現力を研ぎ澄まし、2023年にデビューしたBMSGの第2弾ボーイズグループ「MAZZEL(マーゼル)」の主軸メンバーとして華々しい活躍を見せています。
また、合宿審査を通じて音楽的リーダーシップを発揮していたショウタは、最終選考の場でSKY-HIから「グループではなくソロアーティストとして契約したい」と直接オファーを受けました。現在は「Aile The Shota」として、日本のR&B・City Popシーンを牽引するフロントランナーとして確固たるポジションを築いています。
音楽歴わずか数カ月で類まれなるグルーヴ感を披露したREIKO(カディオ)も、トレーニー期間を経てソロシンガーとしてデビューを飾りました。SKY-HIが「才能を消費して使い捨てるオーディションビジネスへの怒り」を原動力に立ち上げたシステムは、脱落したすべての才能を適切な受け皿へ導くセーフティネットとして完全に機能しています。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|従来のサバイバル番組との決定的差異
ネット上の一部コミュニティやSNSでは、「脱落者を囲い込むためのプロパガンダではないか」「合格者が最初から決まっていた出来レースではないか」といった疑念が散見されることがありました。しかし、現場の関係者証言や制作プロセスを精査すると、そうした推測が的外れであることが分かります。
従来の視聴者投票型サバイバル番組(プデュ系など)では、視聴者の感情を煽る「悪魔の編集(ドラマタイズのための過度な切り取り)」や、脱落者の挫折をコンテンツとして消費する構造が内在していました。対してTHE FIRSTは、審査基準を「他者との比較」ではなく「本人の才能の開花度と楽曲への適合性」に置き、すべての評価コメントにおいて人格を尊重する対話が行われました。
「落とすための粗探し」ではなく、「どうすればこの才能が音楽業界で生き残れるか」を審査員側が真剣に模索した結果が、現在の多角的な所属形態につながっています。これは出来レースではなく、参加者の将来に対するレーベル代表としての責任感が生み出した必然の帰結です。

【プロの結論】音楽社会学から読み解くBMSGの育成システムと参加者の適性
社会学および心理学の観点から「THE FIRST」を分析すると、日本型組織に根強く残っていた「精神論的指導」や「支配・従属の共依存関係」からの脱却が見て取れます。芸能界に蔓延していた「理不尽な下積みへの耐性」を美徳とする文化を解体し、個々の心理的バウンダリー(境界線)を尊重するアプローチが取られました。
この育成環境において真価を発揮する人物と、ミスマッチを起こしやすい人物の条件は極めて明確です。
BMSG型環境に向いている人物の条件
- 能動的なクリエイティビティ:指示待ちではなく、自ら音と言葉を紡ぎ、自律的に表現を模索できる気概を持つ人。
- 他者へのリスペクトと協調性:ライバルを蹴落とす対象ではなく、作品を高め合う仲間として心理的安全性を構築できる人。
- 自己開示の受容力:自身の弱さや未熟さを認め、客観的なフィードバックを糧に自己変革できる柔軟性を持つ人。
BMSG型環境に慎重になるべき人物の条件
- 受動的な指示待ち体質:振付や歌割りをすべて事務所に決めてもらい、与えられた枠組みの中だけで演じたい人。
- ゼロサムゲーム的競争志向:他者を蹴落とすことでしか自己の優位性を確認できないマインドセットを持つ人。
SKY-HIが提示したモデルは、個人の尊厳を守りながら世界基準のエンターテインメントを創出可能であることを実証しました。この思想は、単なる一過性のブームを超え、次世代の才能発掘における絶対的な指標として定着しています。
【the first オーディション】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『THE FIRST』の全エピソードを今から見ることは可能ですか?
A1:動画配信サービス『Hulu』にて、合宿の舞台裏や未公開シーンを含む完全版が全話アーカイブ配信されています。また、YouTubeのBMSG公式チャンネルでもダイジェスト版やクリエイティブ審査のパフォーマンス動画が視聴可能です。
Q2:脱落したメンバーは現在全員BMSGに所属しているのですか?
A2:全員ではありません。古家蘭(MAZZEL)、Aile The Shota、REIKO、RUI、TAIKI、KANONなどはBMSGに所属・活動していますが、他の道を選び学業復帰や別事務所で独自の音楽・ダンス活動を継続している参加者もいます。本人の意思が最優先されています。
Q3:BE:FIRSTのメンバー選考に視聴者投票は影響しましたか?
A3:視聴者投票は一切行われていません。SKY-HIがプロデューサーとしての全責任を背負い、クオリティ、クリエイティビティ、アーティシズムの基準に基づいて単独で最終選考を実施しました。
まとめ:THE FIRSTが切り拓いたボーイズグループの新時代
「THE FIRST」というプロジェクトが成し遂げた最大の功績は、BE:FIRSTという世界的グループの輩出にとどまりません。日本のボーイズグループシーンにおいて長年ブラックボックス化されていた審査基準の透明化と、候補生たちの尊厳を守る育成プロセスの提示にありました。
富士山合宿で流された涙と汗、そしてクリエイティブ審査で生まれた珠玉の楽曲群は、参加したすべてのボーイズの血肉となり、2026年現在の多様なステージで結実しています。競争から共創へ――SKY-HIが撒いた音楽ファーストの種は、これからも日本のポップカルチャーを牽引する巨大な大樹として成長し続けます。 (出典: the first オーディション(Yahoo!ニュース))